2007年06月07日

新銀行東京の赤字が意味しているもの

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 新銀行東京の平成19年度3月期の決算が6月1日発表され、その赤字額の大きさに衝撃が走りました。

経常収益(売上高)   116億
経常利益       -401億
当期純利益      -547億
業務純益(本業の儲け) -206億
平成19年3月期決算 決算短信


 三期連続赤字で、その累積赤字額は547+209+88=844億。都が1000億出資して84%払っているので、714億円のお金がどっかいっちゃったと大騒ぎされているわけです

貸した金が返ってきていないのが問題
 公開資料からは、貸しているお金の総額は2460億円ぐらいになるそうです。不良債権処理額(お金が回収できないから債権放棄したり、債権をどこかの会社に売った額)が192億円。そして、今期もう金は返ってこないなぁと思われる額が120億円です。
 正確に貸しているところの何割が回収できていないかわかりませんが、10%以上は貸したものの返ってきてない感じです。

 かなりヤバイ感じです。この数字のヤバサは、どうやったら黒字化できるか考えてみたらわかります。

どうしたら黒字化する?
 普通に考えたら、返ってこない額以上のお金をそのほかの貸している会社から回収すればOKです。つまり、今貸している会社の金利を10%以上にすればいいわけです。

 でも、そんな高金利で貸し出すことはできるのでしょうか?

 大体、上場企業の借入の金利は1.5%〜2%ぐらいです。未上場企業でも5〜6%いかないぐらいじゃないでしょうか、何となくだけど。10%は相当高い数字です。

10%では貸せない
 今は金余りの時代と言われています。銀行は最低金利ギリギリで貸し出さざるをえず、お互いあんまり儲かってません。だから、証券業務を強化しているわけで
 もともと新銀行東京は貸し渋りが厳しかったころにそれをどうにかしようと設立されたわけですが、今のような金余りの中では、貸し渋りなんてほとんど起きていません。

 とすると、10%なんて高金利で貸し出すのは相当厳しい感じがします。しかも、あまりにも高金利だと消費者金融のように思われ、イメージもよろしくありません。

 やはり低金利になってしまうわけです。

チーズはどこに消えた
 低金利で貸し出して帰ってこないお金はどこに投資されたのでしょうか。2467億円のうち、製造業が199億円、建設業が182億円、卸売業が242億円、金融・保険業が452億円、各種サービス業が274億円、その他が762億円というのが主要なところです。

 この貸出先で気になるのは、製造業の少なさ、建設業・卸売業の多さ、金融・保険業へのよく分からない貸し出しの多さ、不明瞭な貸出先の多さです。

 大義名分からすれば製造業の割合が高くなるべきです。
 また、貸し渋りが起きているところに貸しているとは言っても、将来性のない業種(建設業、卸売業)に貸し出すのは営利企業のやることではありません。
 金融・保険業への貸し出しは、中小企業融資目的とのことですが、そのために作られたのが新銀行東京ではないでしょうか。また、その他の銀行は金余りですから、わざわざ金を借りる必要もありません。この行為は、新銀行東京がそのほかの銀行から収益を抜いている印象を受けます。
 また、その他の貸出先とは一体何を意味しているのでしょうか。大まかに製造業、サービス業と分類すればどちらかに入ってくるはずなのに、外部からまったくやっていることがわからないようになっています。

新銀行東京がこれまでにしたこと
 上記のことから、新銀行東京がこれまでしたことは、倒産寸前の会社にお金を貸して、その会社の従業員、経営者が少し一息つくのを手助けしたということになります。都民の税金で。

 都民の税金で、都民にお金を再分配するという仕組みはそれだけとってみると何か割といいじゃんという気がしてきますが、677人の従業員のための給料36億円や、店舗の賃料、システムの開発費用などの115億円なんかが途中で中抜きされているわけです。

 このように考えると、形を変えた昔のゼネコンへの公共投資な気がしてきます。

 んじゃ、新銀行東京はどうしたらいいのでしょうか?普通に銀行として融資していくのだったら、金利を上げるか潰れる会社には融資しないということになります。もしくは、何かもっと儲かるけど、他の銀行はやってない、東京限定でやれるサービス・商品を提供するか・・・。

 ちなみに、現状はどうなっているのでしょうか。

実際の金利はどのくらい?
 非常に適当な計算をすると、19年度(2006年4月〜2007年3月)までは2660億円を融資・保証していて、それに対して業務粗利益(受け取った金利とかサービスに対する手数料の合計)が約50億円なので、50億÷2660億=約1.9%ぐらいで貸していた感じがします。やはり低金利っぽい。

 んじゃ、これがすぐに営業の人間増やして、審査のやり方を見直したら、高金利で、優良企業にだけ貸し出せるでしょうか。

 そう簡単には行かない気がします。

日本の銀行の与信能力の低さ
 日本の銀行は総じて与信能力が低いです。原因は、地価の上昇に大きく起因します。日本ではバブル崩壊まで地価が上昇しつづけていたので、銀行担当者は資産の中の固定資産の中の土地にだけ注目して、それを担保にしていたら安心してお金を貸すことが出来ました。そのせいで、企業の正しい収益力を見て、お金を融資するという目が育ちませんでした。
 日本の銀行の中堅社員に審査能力がないわけです。このような中では、いくら新人が入っても成長することはできません。

 新銀行東京がいくら営業人員を増やして、与信能力を上げようとしても、かなり厳しいのは想像に難くありません。営業を増やしているのはどこの金融機関も同じことですし、高い与信能力を持った人間はそれほど多くはないわけです。そうかといって、外資系企業で与信をしていたような人はかなり給与水準が高いでしょうから、平均年収550万強の新銀行東京に来てくれないでしょう。

だからやるべきこと 保守的な案
 淡々と本当に優良企業にちょっとだけでも融資させてもらうことが一番です。失敗しませんし。そして、長い期間をかけて優れた営業マンを育て、与信のノウハウを高めていく。2010年の黒字化は難しいかもしれませんが。。。これは新銀行東京が中期経営計画で掲げていることです。

だからやるべきこと 革新的な案
 思いつきです。

・独立系の中堅でもうヤバイ感じの消費者金融業者と業務提携して、与信のノウハウを獲得する(個人向けでも可)。
・東京ベンチャーファンドを設立し、オフィスなんかを提供しつつ、ベンチャー企業の資金需要、人集め、上場まで全てサポートする。リスクは大きいけどリターンも大きいかも。
・大田区とか台東区の中小企業はサイズが小さいがために設備投資負担で苦しんでいるので、合併させて大きくさせる。で、手数料を受け取る。

 僕は金融業にはそれほど詳しくないので、これが限界です。メザニンローンがどうたらとか、ストラクチャードファイナンスがどうたらとか、債券がどうたらとか分かりません。

 ただ、かなり難しいこと、かなりリスクが大きなことをしないと、競争が激しい金融業会で生き残っていくのは難しいんじゃないかなと漠然に思ったので、上記をあげてみました。

 ではでは、眠いので、この辺で終了。皆さんおやすみなさい。







posted by K at 02:31 | 東京 晴れ | Comment(1) | TrackBack(0) | 12.業界研究
この記事へのコメント
感謝です。
Posted by 烈士 at 2007年06月07日 22:39
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